漆黒の瞳の行く先は 【10】
「はぁ?心理テスト?…まぁいいけど」
渋々なのは否めないが、一応陸は承諾してくれた。
あたしは何だか楽しくなってきて、声を弾ませた。
「じゃ、いくよ?…あなたは鳥を飼育することにしました。
そのためには鳥かごを買わなくてはなりません。あなたはどれを選ぶ?
1、安くいけれど鳥が逃げ出しやすいカゴ 2、値段も強度もまぁまぁのカゴ
3、値段が高く、とても頑丈なカゴ」
「3番」
即答だった。いや、もうちょっと考えてもいいんじゃ…。
あたしは陸のこの答えを聞いて、ちょっとばかり驚いた。
陸もあたしと同じような、人を束縛したりはしないような人種だと思ってたから。
あたしと、同じような。
本当の、本物の、血の繋がったキョーダイのような。
体の何処かに、あたしと似通った部分があるって、信じてたのにな。
「当たり前だろ?絶対逃がさないためには、少しくらい高くても頑丈なのがいいし」
そう断言する彼は、やはりあたしとは全然似ていない。
―――あたしは何を期待してたんだろう。
あたしと同じ答えを選択して、少しでもあたしと繋がりがあるって事が知りたかったの?
そんなちっぽけの事に、縋りつきたかったの?
…バカみたい。
あたしは、そんなに弱い人間じゃないはずなのに。
あたしは、そんなに陸が好きなわけじゃないのに。
なのに、どうしてなのかな?
どうして、涙が出るんだろう。
耳に当てた金属部分から、聞き慣れた声が飛んでくる。
「…何?答え聞かせろよ。おーい。………姉貴?何…何で、泣いてんの?」
ごめんなさい。
あたしは唐突に、電話を切った。
何も、ただの一言も言わずに。
――――これ以上、あたしに現実を突きつけないで。
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投稿: l | 2007年1月29日 (月) 15時14分